日本観光学会のご案内
日本観光学会は、昭和35年(1960年)5月に観光及び観光事業に関する学術の進歩・普及を目的として設立されました。現在、本部事務局は関東支部に設置されており、東北・北海道支部、関東支部、中部支部、関西・中四国、九州・沖縄支部の5支部があります。会員数は、約250名で、大学、短期大学、専門学校、高等学校、官公庁、民間研究機関、観光事業等に所属している観光研究者で構成されています。また、所属上部機関としては、平成16年の日本学術会議法改正後、日本学術会議より観光関連研究団体として新制度による認定を受けています 。
定期刊行物として、会員の研究成果を掲載する機関紙「日本観光学会誌」を年1回発行しており、学会活動として、毎年、会員の研究促進、発表および地域の観光振興を目的として、全国大会および各支部大会を開催しています。海外大学との国際学術交流としてジョイント・シンポジウムも行っています。
学会は学術的な研究活動を行うだけでなく、時代の要請に応える学術的貢献も行ってきました。平成11年春の沖縄の第79回全国大会においては、沖縄サミットを翌年に控え、「沖縄の観光振興」をテーマにし、ワークショップ、研究発表、シンポジウムを行い、沖縄の観光振興に関する学会提言も行いました。また、平成12年3月30日の北海道有珠山噴火により、危機的被害を受けた洞爺湖温泉活性化のため、平成13年春に洞爺湖において、第83回全国大会を開催し火山噴火と観光との関係を取り上げ、「火山災害と観光」というテーマでフォーラム、研究発表などを行いました。
日本においては、「産業立国」から「観光立国」への価値観の転換が時代の要請となりつつあることから第87回全国大会以降「観光立国」を共通課題として研究発表を続けてきました。そして平成16年11月の第90回創立45周年記念全国大会において「真の観光立国へ25の提言」を微力ながらも社会貢献の一助に資する願いをこめて発表するとともに、当該提言を国土交通省にも提出しました。
平成22年6月には学会の歴史的な節目となる「第100回記念全国大会」が、東京大学(本郷キャンパス)において盛大に開催されました。平成26年7月、長年待ち望まれていた昭和36年12月発行の創刊号から平成21年9月発行の第50号迄の「日本観光学会誌CD」が完成し、本会の会員及び関係者や関係機関などに配布されました。
会長挨拶
このたび、2期目の会長をお引き受けすることになりました。引き続き、2学会合流後の本学会の安定的な発展の道筋を整備して、次の世代の会員の皆様にバトンタッチすることが、会長としての責務と認識しています。
日本観光学会は会員間の研究交流と観光研究成果の発表の場を提供することを通じ、我が国観光研究の発展を図ることを目的として1960年設立され、設立後60年を超える歴史を有する学会です。この間、我が国の観光を取り巻く状況は、アウトバウンドの国からインバウンド観光の目的地として大きな変化を遂げてきました。こうした観光を取り巻く状況の変化やITC化の進展の下で、観光研究の学会も時代に対応した取り組み・対応が求められています。
海外観光客の増加に伴い、観光に関するニュースもよく報道されるようになりました。 そこでは、観光のプラス面に関するものとマイナス面に関するものも同時に増えてきています。つまり、観光活動に伴う影響の範囲も拡大してきていることで、解決すべき社会・経済的な課題も生じてきています。一例を挙げれば、観光地の混雑問題や地価の上昇に伴う物価の上昇など、地域社会の暮らし方に大きな変容を迫る事態も生じてきています。
このため、単に観光のプラスの効果のみを研究対象とする時代から、観光の拡大が地域社会のみならず、日本の社会や経済に及ぼす正負の影響を丁寧に分析する必要が生じていると考えています。この点の解明には、国際共同研究も有効と考えます。
こうした状況を踏まえて本学会の今後の重要な課題としては、引き続き会員の研究活動の支援、学会活動の国際化の推進、そして学会事務のより効率化の3点と考えます。
一つ目の研究活動の支援については、特に若手会員の研究の活発化を一層図ることが学会全体の活性化を促進すると考えています。
二つ目の学会活動の国際化は、他分野の学会と比較するとこの面でのキャッチ・アップが必要と考えています。海外学会での報告や海外誌への投稿、国際共同研究の促進などが課題といえます。我が国の観光研究の国際的評価を高める必要性が今ほど高まっているときはないといえます。
三つ目の学会事務の効率化は、近年の会員数の増加に伴う学会事務の効率化の必要性が高まっていることです。具体的には、外部委託とオンラインジャーナル化は、一体化して進めることが必要ではないかと考えています。
ポストコロナ期における我が国の観光研究の発展のために、さらに魅力ある日本観光学会とするべく、持てる力を尽くす所存でありますので、引き続き会員の皆様のご理解とご協力を、よろしくお願い申し上げます。
2025年4月吉日
会長 大江 靖雄
観光学関連学会協議会・発足準備委員会による新型コロナ禍への提言(抜粋)
「近隣観光」の推奨 神頭広好(日本観光学会・前会長)
公共交通機関(電車やバスなど)を利用する際、新型コロナウイルスは気になるが、車中において適切な間隔を空けて、短い乗車時間で行ける観光地を選択すれば、宿泊観光の交通費年間予算13,500円(2019年)で近場の観光を何回も楽しむことができる。また移動時間が短くなれば、滞在時間を長くすることもできる。旅行の予算制約のもとで旅行を考える際、近場の魅力ある観光地を探して、リピーターになれば、そこを探すことの満足感と同時に目的地での満足も得られ、さらに歴史、風土などを通じて新たな発見が生まれる。インスタグラマーによって情報が発信されている現在では、私たちがインスタグラマーとなりえる。
それゆえ新たな発見という意外性をも含む「近隣観光」は、新型コロナ禍の観光において、観光地の需要・供給・公共サービスをバランスさせる自動安定装置の役割を果たしているのである。
執行部
会 長 | 大江 靖雄(東京農業大学) |
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副会長 | 長橋 透 (青山学院大学:本部事務局長兼任) 角本 伸晃(実践女子大学) 吉川 三恵子(九州・沖縄支部代表理事兼任) |
理 事 | (支部長理事) 井上 寛(仁愛大学:北海道・東北支部長) 有賀 敏典(千葉大学:関東支部長) 水野 英雄(椙山女学園大学:中部支部長) 天野 景太(大阪公立大学:関西・中四国支部長) 石田尾 博夫(第一工科大学:九州・沖縄支部長) (支部代表理事) 中里 真(福島大学:北海道・東北支部) 野呂 純一(目白大学:関東支部) 井出 明(金沢大学:中部支部) 江口 善章(兵庫県立大学:関西・中四国支部) 吉川 三恵子(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局 福岡視力障害センター:九州・沖縄支部) (日本観光学会誌編集委員長) 江口 善章(兵庫県立大学) |
会計監査 | 井上 綾野(実践女子大学) 野呂 純一(目白大学) |
本部事務局
住所 | 〒252-5258 神奈川県相模原市中央区淵野辺5-10-1 青山学院大学社会情報学部 長橋研究室 気付 |
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nihon@kankoga.or.jp |
国内支部
支部 | 東北・北海道支部 |
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支部長 | 井上 寛 |
住所 | 〒915-8586 福井県越前市大手町3-1-1 仁愛大学 井上研究室 気付 |
支部 | 関東支部 |
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支部長 | 有賀 敏典 |
住所 | 〒263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33 千葉大学工学部 有賀研究室 気付 |
支部 | 中部支部 |
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支部長 | 水野 英雄 |
住所 | 〒464-8662 愛知県名古屋市千種区星が丘元町17-3 椙山女学園大学現代マネジメント学部 水野研究室 気付 |
支部 | 関西・中四国支部 |
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支部長 | 天野 景太 |
住所 | 〒558-8585 大阪府大阪市住吉区杉本3-3-138 大阪市立大学文学部 天野研究室 気付 |
支部 | 九州・沖縄支部 |
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支部長 | 石田尾 博夫 |
住所 | 〒899-4395 鹿児島県霧島市国分中央1丁目10-2 |